対談2018

校長先生×PTA会長2018@比良げんき村

前年度のPTA広報誌こまつばらに掲載した対談記事です

校舎

対談テーマは、「ふるさと」です!

広報部:「ふるさと」というと、どんなイメージがありますか?

校長:私は、山科で生まれ育ったんですけれども山科って四方を山で囲まれているんですね。だから小さい頃は学校へ行く時は山を背にして、家に帰る時には山に向かって歩いてきたという思いがあるので、「ふるさと」というと山に囲まれているイメージがあります。

 だから小松小に来た時、本当に山が近くて、 凄く懐かしい気持ちになりました。ああ、やっぱり山がすぐ目に入る、山が身近にあるというのは、私の心の安定というか、『故郷・ふるさと』なんだな…とここへ来て改めて感じました。

前会長:私は広島市内の山手の出身で。原風景の中に、山と川と田んぼがあるんですね。やっぱり今でも山があり川があるところはとても安心します。ふるさとって考えた時に、近くの川でおじいちゃんの木製の舟に乗せてもらったりしながら川エビ捕ったり、鮎からつくるウルカっていう珍味を食べていたり、子ども時代をそういう所で過ごせて今では本当に贅沢だったんだなって思います。

校長:ウルカっていうのは鮎の佃煮ですか?

前会長:ウルカっていうのは鮎の内蔵の塩辛みたいなもので、新鮮じゃないと作れないので、鮎を捕っている人しか、地元でもなかなか食べれないです。凄く懐かしくて今でも食べたくなるんですけど。

 こっちに引っ越してきて一番びっくりしたのは、三世代が同じ地域に住んでいること。前に住んでいたところではそういう家庭を見る事が少なかったので。でもそういうつながりがあるから安心して外に出られるんだなって思います。親以外にも地域に信じられる大人がいるっていう、そういうのってすごく大きいなってつくづく感じています。

◎ウルカとは?コトバンクより↓↓↓

うるか
アユからつくる塩辛。主として内臓でつくる。アユの内臓を取り出し、水洗いして砂や泥を流出させ、30%程度の食塩を加えて樽(たる)に詰め、毎日かき回し、数日後、水を切り、瓶に詰め替え、密封して熟成させる。

楽しい思い出が一番に出てくる、そういう学校であって欲しい

校長:そう!それはすごく思います。やっぱり心の基盤だと思うんですよ、どっかに安定したものがないと、やっぱり外には飛び出して行けない。子どもの育ちに家庭への愛着が大事だと言いますが、地域への愛着もそれと同じと思うんですね。
 社会のコミュニティと自然っていうのは凄く大きいと思うんですよ。

 ここは去年台風の被害を凄くうけてはってね、自然の驚異、人間の力が及ばないものっていうのをみんなすごく感じたん違うかなって思うんですよ。だから自然ていうのはそう言う面も有りながら、心を癒してくれるものである。

「やっぱり人間て生きものやから」そういうことを全て教えて貰わなくてもここで育った子は自然に感じて学んでいくんじゃないかなと思います。私、先生方にも言っているんですけれど、こんなに大きな山を見て育った子、山の麓の子達は山の鋭気を貰って育つから、絶対何かを持っているはずだと!

広報一同:おー! 笑

校長:自然は、必ず変化していくから、四季の移ろいがあるじゃないですか。ほんまに生きてるっていうか、成長しているっていうか、そういうパワーを感じるんですよね。

 私は前、葛川の自然の家にもいたので、朝は敷地内を全部周って、一番上の高い所から全部を眺めてね、「あ~、幸せー」ってね。

前会長:自分がその自然の一部に溶け込んでる感じがありますね。ここは「木(山)だけで何も無いやん」っていう人も中にはいるけど、私は(山を見て)ボーってしているだけで幸せで。
 ちょっと風の揺れかたが違ってたりとか、よだれ垂らしてお昼寝したりとかね。(笑)

校長:そうそう、そこにいると元気も貰うし、考えもまとまってくるし、人間の小ささっていうのも感じつつ、すごくやる気が湧いてくる。特に、これからの子ども達は日本という舞台だけじゃなくってグローバルに活躍していくと思うので。世界に出ていくことが当然になっていく子ども達じゃないですか、その時の、心の安定というか、自分の出発点というか。

 そこで、ふるさとは小松小っていうのが絶対あると思うから。小松小のことを思い出す時に、悲しい思い出とともに思い出して欲しくない。

 そういうことも、成長していく人間関係とか社会の中だからあるんだけれども、でもやっぱり思い出すときに、楽しい思い出が一番に出てくる、そういう学校であって欲しいなと思ってます。

前会長:そうですね、安心して過ごせてたなっていう体験が、子ども達にとって財産になるのかなって思います。

『かしこい頭』と、『柔らかい心』で。

校長:どんなことでも挑戦、選択できるような子ども達になって卒業して欲しいと思うから、自己決定できる力量をつけて卒業させてあげたいと思っているんです。自分たちがコレをしたい!と思う時に、そのことが理解出来なかったり分からなかったり、そういうことがないように基礎的な学力は身につけた上で、リソース・資源を生かした体験を、是非私は組み入れたいと思っています。それこそ生きる力というか、多様性の中で育っていくことで、様々な価値観を認めたり、受け入れたりする『柔らかい心』が育つと思うんですよ。

 親や先生を見て、小さい頃は素直にそれを見習うと思うけれど、だんだん大きくなって、自分の価値観と合わさった時に、同じようにしたらいいのか、自分の考えの通りにするのかを選択する事が成長やと思います。

 でも私は、たとえはっきり伝えられなくても、それでもそれは『その人』やん?って認められるようになっていきたいなって凄く思います。

 上手に話せない子とか、自分の考えをうまく言えない子でも『あの人はそうなんだ』『それでもいいやん』っていう感じで認められるようにしていきたいなって思います。そんなに白黒はっきりつけなくてもいいやんってね!

前会長:それはすごくありますね。このご時世、100%の答えを求める風潮があるのかなと思いますね。

校長:それも『早急』にね!

前会長:今、仕事上でもコミュニケーションが課題になることが多くて、研修っていうとほとんど「コミュニケーション」がセットで付いてくる。相手の価値観を認めて、自分の気持ちも適切に相手に伝える、そういう社会性をつけていくところが課題なんだな、って思っています。

校長:そう、失敗の無い人生なんてないから、たとえ失敗しても折れたりしないで柔らかく返すことが出来るような、そういう心を体験で育てていきたい。『柔らかい心』と言いましたが、たおやかな心、しなやかな心、多様性を認められる心。失敗したり、自分が生きていく中でもの凄く五感も豊かになっていくじゃないですか。一言言われたからといってカーッとなったりではなくて、豊かな感性の中で自分なりに受け留めて昇華してまた返していけるように。

 『かしこい頭』と、『柔らかい心』で。かしこいっていうのは点数を取ることでなく、いろんな状況を受けて判断出来る頭と、柔らかい心を育てていきたい。ここは、それが出来る場所じゃないかなって思います。

げんき村