校長先生×教頭先生×PTA会長 鼎談(ていだん)2021

テーマ「子どもに身につけさせたい力」

新型コロナウイルス感染症の広まりで生活が一変しましたが、これから先もどんなことがあるかわかりません。
これからの時代を生き抜くためにも、子どもたちにつけてほしい力とはどんなことなのかについて、お話いただきました。

例年、校長先生とPTA会長の対談でしたが、今年度は新たに赴任されてきた教頭先生にも参加いただき、「鼎談(ていだん)」を実施しました。(※鼎談は10月中旬に実施しました。)


鼎談001

【校長先生が思うこと】

鼎談2021-02

校長:
テーマの「子どもたちにつけたい力」と聞いて、体育館に掲示してある学校教育目標の「風に乗り 風に向かい 風を起こす」を思い浮かべました。

「風を起こす」というのは、しっかり考え、世の中を良くしていける力。
そんな力を持った子どもたちに育っていってほしい
というのが、私の願いです。

さらに言えば、小松小の「めざす子ども像」にもあるのですが、『かしこい頭とやわらかい心を持つ子』ですね。
しっかり知識を持って考え判断し、表現できる子どもたちが育つことです。

これから先行き不透明な時代になってきていますよね。今も新型コロナウイルス感染症のことがあったりしますし。

AI(人工知能)がさらに進み、今ある職業の種類も変わり、次の時代に出てくる新たな課題もあり、私たちが体験した課題と違うものとぶつかっていった時に、しなやかに立ち向かって、対応していける力がついているよいと思います。

【会長が思うこと】

鼎談2021-03

会長:
学校で学ぶ学習や、そういう場もとても大事だと思うのですが、これから生きていくうえで、それを基礎として強く生きていく上での「人間力」でしょうか。

それを芯にもって成長してほしいなという思いがありますね。
人間力といってもいろいろなものが混ざり合ってなんですけど。

この前ちょうど私の経験としてあったことなのですが、いま月に1回子どもたちの遊びの場みたいな集まりがありまして。

教頭:
それはどういったものでしょうか?

会長:
休日に保護者主催で運営している会があり、その中で子どもは自由に遊べて、自ら考えて遊びの中で学びを築いたりしながらやっているものです。

その特別版のようなかたちで、夕方から夜にかけて夏祭り的な催しがありまして。

子どもたちはその日をとても楽しみにしていたんですけど、午前中は普通の遊び場があって、その流れで夕方からはサマーフェスティバルという予定でずっと続いていたので準備などもあって大変で。

その上、予想をはるかに超えるたくさんの参加者が来て、子どもたちは自分が楽しむより気付いたら運営側のお手伝いをしていて。

私は下の子も一緒だったので、お世話と子守りでてんやわんやで、手伝いができなくて。

私が「こうしなさい、ああしなさい」というのではなくて、子どもたちが自ら考えて『お手伝いをやろう』と動ける力が身についているんだなぁと。

人が多くて、なかなか子どもたちをひとりひとり見れてあげれていなかったのですけど、あとあと関係者の方から聞いたら「3人とも自主的に動いてくれて助かった!」とすごいお褒めの言葉を頂いて。

教えてないのに、困った時は助け合えることできるように成長しているんだなと、すごくうれしく感じたことがあって。

大好きな遊び場だからという思いもありつつ、お友達と楽しみたい気持ちを抱えながらも、お手伝いに徹する優しさと真面目さに心を打たれ、我が子ながら尊敬に値する思いでした。

だから学校での学びももちろん大切なんですけど、強く逞しく生きていくための人間力というのは、地域の行事や遊び場など、子供の興味がある場所で自然と身に付いていったりするんだなぁと、身を持って実感できた貴重な経験でした。

【教頭先生が思うこと】

鼎談2021-04

教頭:
赴任してまだ数か月ですけど、小松小の子どもたちはすごく明るくて、元気いっぱい毎日過ごしているなぁと思っています。

大きい規模の学校ではありませんが、いろんな子どもたちがいて、多様な考えや楽しみがあり、それぞれに得意や苦手な部分など様々なところがある中で、お友だちとうまく付き合ったりとか、楽しく過ごしていったりするような、人間関係を作る力がもっと育つといいなと思います。

引っ込み思案な子もいたりするんですけど、友だちに関わる機会が増えていくと、少しずつ自分のことを上手に出したりとか、友だちとやりとりしたりするような小松の子の姿が見られます。

あとは、子どもたちの自己実現をめざすような力を高めることが大切だと思っています。

今年度は6年生の書写の授業を受け持っているのですが、6年の子どもたちと話していると学期の始まりやいろいろな行事の前に子どもたちなりにしっかりと目標やめあてをもって過ごしているんだということがとてもよくわかります。

例えば、先日の書写で「運動会のめあてを習字で書こう」という学習をしたときに子どもたちなりに「おれ、こんなことをがんばろうと思っているんや。」とか「わたし、最後の運動会やし、こんなことやってみたいんや。」と声がすっと出てくることがありました。

それは担任の先生とそういう風な話をしたり、目標をもつような学習をしたりしていたのかもしれません。
一つひとつ、そうやって自分でがんばりたいことなどの決意を持って向かっている小松っ子だと知って、とっても頼もしく思いました。

そういう風にこんな自分になりたいと思いながら過ごしていくというのはとっても大事なので、6年生だけではなく他の学年の子どもたちも6年生を見習って伸びていってほしいです。

あとは最後に、社会参画についてです。
よりよい集団や社会を自分たちで作っていこうっていう力が小松の子にもっと育てばいいと思います。

大きな集団、例えば中学校に入っていったり大きな社会に入っていったりする中で、自分だけではなくて所属している集団をもっとよりよくするためにどんなことができるかと真剣に考え、自分の力を発揮していくことがとても大切と思います。

小松の子どもたちと話していると、すごく地元愛が強いことが分かります。
なので、きっと大きくなってからもこの小松の地域のことを大事にして、よくしていこうということをもっと思って、成長してくれたらなと願っています。

【小松ならではの強みや魅力について】

鼎談2021-05

広報:
会長さんのお話にもあったのですが、小松だからできる子育てというか、つけられる力というのもあるかなっていう風に思いますよね。

教頭先生もおっしゃったように地元愛が強い子が多いと思うんですけど、中にいるとやっぱり当たり前になってしまって本当にその魅力に気付ききれてないところがあったりするのかなと思うんです。(一同、うなずく。)

移住してきた人などから「すごくいいところだよね。」と言われることによって、それが自信になって、さらによくしていこうという風になってくれたらいいなっていうのは移住者として思うところはありますね。

校長:
関連してですが、今年、2年ぶりに全国学力学習状況調査があり、全国の子どもたちと小松の子どもたちがどのように違うかという結果が出ました。

その中で、「自分で進んでいろんなことに挑戦したいと思っていること」が多いことや「自分に良いところがある」と思っている子どもたちが多くいました。
「地域の行事にも進んで参加している」という子どもたちも多くいました。

さっきの話とも関係するのですが、この小松で勉強して、また広い世界で勉強してきて、いずれまたこの地域に帰ってくる。小松への郷土愛みたいなものが育っていくといいなと思います。

この町を引っ張ってくれるリーダーが育っていってくれて、活気のある町になっていくことはすごく素敵なことかなぁと思っています。

今年、「学校夢プロジェクト」という事業が大津市全部でありまして。本校では「ヨシ作り」を進めています。

水の循環やS D Gsの勉強につながっていくことをするのですが、ちょうど来週にはヨシ笛奏者の方に来てもらって音楽鑑賞会をします。
自然のことを考えながら音楽的なことも学ぶことができればと思います。

先ほど言っていただいた6年生の地域を学ぶことも含めて、小松についてどんなことを知っていて、どんなことを誇りに思っているかっていうことをもって中学校へ進んで行けたらいいかなと思います。

中学校へ行くと4つの小学校が集まってくるので、小松について詳しく知ることはなかなかできないと思うんです。だから、小学生の間に小松についてしっかり理解し、この地域を愛する、足元を愛せる力をしっかり持ってほしいと思います。

会長:
小松の歴史や地域のことは、もしかしたら私よりも子どもたちの方が詳しいかもしれないですね。
幼稚園でも百閒堤へ遠足に行ったりしていますが、わたしは百間堤を知らなくて。

小さい時からそういうことが当たり前に生活の一部としてあるということは、大きくなって例えば滋賀県を出るとか、もっというと日本を出るとかなった時に強みになるかなと思っています。

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小松小は小規模なぶん、ひとりひとりの距離が近いので団結力もつきやすいのかなと思います。
その中で、校長先生がおっしゃったような、足元を愛せる力みたいなものもつけていってくれたら良いなと、親としても思いますね。

会長:
人数が少ないからこそ、他の学年の子とも関わり合いが持てて、それはすごく良いなと思います。

子どももだし、先生方にもみんな知ってもらっているのは、子どもたちにも自信とか安心に繋がりますし、保護者としても安心して学校に通わせられていいなぁと思っています。

校長:
子どもと話していると、〇〇ちゃんの弟が、お姉ちゃんがどうだとか、おじいちゃんが…とかね。

会⻑:
おうちのことまで良く知っていますもんね。(笑)
そういうことは⼈数が多い学校ではないことなので、⼩松の良さというか⼩松っ⼦らしさですよね。

広報:
ところで、教頭先生のご出身はどちらですか?

教頭:
生まれは福岡県の小倉ですが、育ちは草津です。
湖西には泳ぎに来たり、スキーやスノーボードに来たりしていました。

通勤で学校に来るときはいつも近江舞子ランプから車で降りてくるんですが、目の前に広がる景気がとても素敵で。

ちょうど朝というのもあって、それだけで清々しい気持ちになりながら毎朝来させてもらっています。すごくいいなぁと。
帰りは時々鹿を見たりもして。こっちはドキドキですが。(笑)

会長:
私は出身が彦根なんですが、彦根も、あと草津や近江八幡にしても、同じ滋賀県でも全然違いますよね。
だからすごく魅力的な県だなと思うんですけど、全国的に見ると少しマイナーというか。

教頭:
琵琶湖が一番に出てきますよね。

会長:
そうなんです。滋賀県イコール琵琶湖だけみたいになってしまっている感じがありますよね。

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実は琵琶湖も実はすごいんですよね。400万年とか、世界でも3番目という歴史があったりとか。

会長:
見慣れているとすごさがあんまり感じなくなるというのはありますね。

校長:
素敵なところに生まれて生活していることを感じてほしいですね。
景色も、湖が見えて山が見えてっていうのもすごいことです。そういうことに自信や誇りを持てると良いと思っています。

昨年の卒業式の時の3つお話しをさせてもらったのですが、ちょうど今日のテーマの付けて欲しい力というような話で。

1つ目は、「やってみよう」という気持ちを持って大人になって欲しいなと思うので、こんなことしてみたいなとか、こんな仕事に就きたいなとか。
学校でも家庭でも地域でも、夢とか目標が持てるような、そういう力が育って欲しいなと思っています。

2つ目は、生きているとどこかで絶対うまくいかないことが起きるじゃないですか。
その時に「何とかなる」と、もう一回立ち上がる力というか。軽い失敗を色々繰り返していきながら、しなやかにこの時代を生きていける力を持って欲しいなと思っています。

3つ目は、何かにつけて感謝できて、「ありがとう」って思える人って、きっと最終的に自分自身が幸せに思えると思うんです。

「ありがとう」ということを感じられる力がついていくと、ひいては自分の幸福につながるのかなと思うので、あかんところを見るのではなく、良いところを感じられるような感性が育っていったら良いのかなと思います。

【さいごに】

鼎談2021-06

校⻑:
これからも先行き不透明な時代ですが、その度に乗り越えていくための力やエネルギーが必要だろうなと。
私たちが経験した事ないようなこともきっと⼦どもたちは経験していくので、そこでなんとかしていける⼒を、今の間につけていってほしいなとは思っています。

広報:
そういう意味では、コロナもある意味いい機会というか…

教頭:
⾃分で解決することも大切ですが、お友だちや家族の皆さんなど周りの⼈と⼒を合わせ、どうしようかってお互い相談し合いながら、いろいろ考えて取り組めるといいなと思いますね。

【こぼれ話~運動会前の環境整備にあたって~】

鼎談2021-06

「小松ならではの良さ」について話していた中で、運動会前のグラウンドの草抜きをめぐって、「小松ならではの良さ」がよくあらわれているエピソードも飛び出しました。

本題とは少しそれますが、とても良いエピソードだったのでおまけとしてご紹介します。


校⻑:
先日の学校だより書いたのですが、会⻑さんをはじめ保護者の方が自主的に草刈りに来られているのです。

今の時代、学校にやってくださいとか、こうしてくださいという要望が多い中で、環境整備作業の日でもないのに、ちょっときれいになったらいいなとか、学校を良くしていこうという気持ちでやってくださっていて、感謝です。

こんな素敵な活動をしてくださっている親の姿を、子どもたちは見ているんです。

親の姿をみて⼦どもは育っていくので、⾃分もそういう返し方が出来る⼈になろうとか、求めるだけではなくて、自分からなんかやってやろうと思ってくれると思うんです。

県内で見ても、そうやって保護者の方が動いてくれる地域ばかりということはないでしょうし、そこもすごく魅⼒だし、地域の⼒であって、⼦どもたちにそれが返っていくのかなと思って、学校だよりに書いたんです。

会⻑:
ありがとうございます。

広報:
それで言うと、先生方が休み時間とか放課後に作業してくださっていると聞きました。
先生方もすごく⼦どもにも学校にも寄り添ってくださっているなぁと、とてもありがたいと思いました。

会⻑:
それは感じますね。お休みの⽇にも来ていただいたとか。

校⻑:
そう言ってもらえるのはありがたいです。

鼎談2021-07

広報:
PTAってどうしてもネガティブなイメージが先行しがちですけど、今年度の役員さんもみんなすごく楽しんでされてるように思います。

会⻑:
みなさん、⽴候補でしたからね。やりたい!とか、お役に立てるならやってもいいですよという感じで。
その中で、抽選で選ばせていただいて決まったのですが。

広報:
ご時世的にも集まってなにか出来ないというなかで、じゃあどんな活動ができるかなぁと、webやメルマガを活用し、みなさん工夫して活動をしていらっしゃいますね。

しかも、それを嫌々やるのではなく楽しんでやっている感じもあるので、そこから「じゃあ私もPTAでこういう事をしようかな」と他の保護者さんが思ってくれて、⼦ども達が過ごしやすい学校とか子ども達のためになるような、いい学校づくりが一緒にしていけたらいいなというのはすごく思います。


【あとがき】
当初、夏に予定していた鼎談でしたが、新型コロナウイルスの影響で延期になり、10月にようやく実施できました。

ご紹介が遅くなってしまいましたが、それぞれが思う「子どもにつけてほしい力」について、また小松ならではの魅力について、短い時間でしたが色々な意見が飛び交い、とても充実した鼎談となりました。

校長先生・教頭先生、そしてPAT会長さん、有意義なお話をありがとうございました!